HOME特集記事 > 栄養士さんご紹介 第8回 澁谷 一姫 先生(学校給食ごはん Vol.8 - 2015 春号掲載)

栄養士さんご紹介第8回

東神楽町立東神楽小学校・栄養教諭
澁谷 一姫 先生

地域力がささえる、スーパー食育スクール。

1年生も、6年生も、並んで給食。

 JR旭川駅から富良野線に乗り換え西聖和という駅で下車、そこから旭川空港を横目にクルマで十数分。今回訪れたのは、開校116年の歴史をもつ東神楽小学校です。文部科学省による平成26年度「スーパー食育スクール」事業の道内唯一の指定校になっています。さっそく金谷昭教頭先生と『学校給食ごはん』8人目の栄養士さんである澁谷一姫先生に迎えられ、食堂に案内されます。この学校の特色のひとつが、全校児童がいっしょに給食をとる全校給食ということですが、これほど広くて立派な食堂があることにまず驚きました。この日は6年生の参観日で、両親に手作りのスイーツをふるまう集いが午後に予定されており、その飾り付けの最中でした。「230人ほど収容できます。東神楽小学校の児童は現在1学年1クラスの208名ですので、先生方を含めるとちょうどいい広さです」と澁谷先生。全校給食の良いところは、「毎日、全校児童の食事のようすを見ることができて、いっせいに食指導ができるところ」と言います。

下級生と上級生がともに成長する全校給食

面白いのは、テーブルがラベンダー、ひまわり、コスモスなどの名前がついた8つの給食グループに分けられ、それぞれのグループが1年生から6年生までタテ割りで構成されていること。「高学年がリーダーシップを発揮し、その姿を見て育った低学年もやがてそれが当たり前のように行動できるようになります」体格が違うので残食を少なくする食事の盛り加減が課題とのことですが、こんな伝統はずっとつづいてほしいものです。

 

スーパー食育スクールって、なに?

 スーパー食育スクールの目的は「食育がもたらす、学力や体力の向上、地産地消の推進、食文化理解などの多角的効果を検証する」とあります。中心で動く栄養教諭として、澁谷先生の取り組みは?「児童へのアンケートなどを参考に、望ましい食習慣を身につけること、食と学力・体力の関連を明らかにすること、をテーマに進めています。年10回以上の食育授業を行いますが、教頭先生はじめ学級担任や教務の先生方のフットワークが軽くて、熱心に協力してくれるので、私自身も授業づくりの楽しさを感じています」

(左上)学校農園でカレーの食材を育て、収穫、調理!/(左中)米づくり体験/
(左下)食育授業/(右上)近隣農家でグリーンツーリズム/
(右下)もちつきではGTAが大活躍

 そして、実践例のひとつが「学校農園大作戦!」ですね。「はい。農園が広いので水やりや草取りが子どもたちには大変ですが、先生方も作業着で農家さん顔負けの仕事をしています。じゃがいも、さつまいも、ズッキーニ、ピーマンと、なんでも作っています。素晴らしいのは、地域のおじいちゃんやおばあちゃんまでが自発的に野菜の世話をしてくれることです。GTAって分かりますか?」うーん、ひょっとしてPTAならぬ、グランドファーザー&マザーのG? 「はい、たぶん・・(笑)学校の運動会にはちゃんとGTAの席も用意されますし、もちつきの季節には皆さん大活躍をしてくれるんです」学外での食育活動は?「グリーンツーリズムといって近隣の農園でトマトやピーマンの一日収穫体験をしたり、5年生は“田んぼの学校”と称して、お米農家のPTA会長のお世話で米づくり体験もさせてもらいました。収穫後はクラスや家庭で食べてもらいますが、自分で育てたというだけでおいしく感じるようです」

地域が子どもを育てる。

 先生のお話を聞いているうちに、東神楽町の並々ならぬ地域力を感じました。上級生と下級生、PTAやGTAや同窓会、ここには世代を越えて人と人がつながる仕組みができています。スーパー食育スクールに指定されたのも、町の水野和男教育長を先頭にした熱心な地域ぐるみの取り組みが実ったと聞いています。  チャイムが鳴り、全児童がわらわらと集まってきました。さすがに200名あまりのおしゃべりが共鳴して、うわーんとうねるような音が食堂を満たします。本日のメニューは、地場産品を使った「メニューコンテスト」で入賞した中学生(澁谷先生は中学校も含め5校の給食を担当しています)考案の「栄養満点!ベジタブルチャーハン」それにワンタンスープ、オムレツ、ハチミツレモンゼリーと牛乳です。今日の料理と食材について澁谷先生からミニミニ講話を聞いて、「いただきまーす!」取材班も一緒にいただきましたが、しっかりした味付けでとてもおいしかったです。児童たちも口々に「おいしかった!」と満足そう。目がとどく範囲ではほぼ全員完食でした。メニューコンテストという初の試みには85名の応募があったそうですが、みんなが少しでも地場産品に関心を持ってくれれば、と先生は期待をこめます。ちなみに、いま町全体で地場の食材を使った30品のレシピ本を制作中です。その中にはなんと教育長のレシピも1品含まれていました。

全校児童200名あまりが一堂に会して給食を食べる
知識も大事、マナーも大事。
本田修校長先生

 ところで、澁谷さんが栄養教諭になったきっかけは?「手に職を持ちたいと考えたとき真っ先に思い浮かんだのが栄養士でした。小学生のときに学校の栄養士さんに話を聞きにいったり、給食が楽しみだったり、と昔から興味はあったように思います。大学で学ぶうちに学校給食に関わりたい思いが強くなり、栄養教諭になろう、と。2年間の臨時教員を経て昨年4月にこちらに赴任しました」同時期に赴任した本田修校長先生も「食育授業を持ちながら忙しくて大変だけど、頑張ってくれています」とエールを送ります。

 自分のころと比べ、いまの子どもたちの食習慣について気になるところはありますか?「そうですね、おかずばっかり食べる“ばっかり食べ”も気になりますが、食事を残すことに抵抗感があまりないように感じます。声をかければ頑張ってくれるので、根気づよく応援したいです」

 お母さん方へ伝えたいことは?「お家で食べることと、みんなで楽しく食べることは少し違うと思っています。栄養や食の知識も大切ですが、社会という場で食事をするマナーの基本をいまから伝えていただきたいですね」

インタビュー・文/三浦清隆  写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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