HOME特集記事 > 栄養士さんご紹介 第6回 須合 幸司 先生(学校給食ごはん Vol.6 - 2014 夏号掲載)

栄養士さんご紹介第6回

札幌市立平岸高台小学校・栄養教諭
須合 幸司 先生

生活習慣すべての中心に、食事がある。

朝ごはんの、3つのパワー。
ユニークでわかりやすい須合先生の授業は子どもたちに大人気

 今回訪れた平岸高台小学校は、札幌市の郊外、その名の通り見晴らしのいい高台にありました。2年生の学級活動の時間を見学すると、この日は朝ごはんの大切さを学ぶ授業。児童たちはとても活発で「朝ごはんを食べるとどうなるの? 食べないとどうなるの?」担任の先生が質問するたびに「はーい、はーい」と大きな声とほぼ全員の手があがります。と、そこに『学校給食ごはん』6人目の栄養士さん、須合幸司先生が登場。

取り出したのは、須合先生お手製の“脳みそハット”。朝ごはんを食べないときは元気がなさそうな白ハット、食べたときはエネルギーがつまった黄ハットをかぶり、身体中に炎パワーやきらきらの元気星がつきます。さらに、上着をはだけると“内蔵Tシャツ”が出てきて、児童たちに大ウケ。朝ごはんの栄養が胃から各器官を通りウンチとなって出ていく、という目に見える説明に納得です。

(写真左)子どもたちが「自分にできること」を考えさせる授業
(写真右)平岸高台小学校の給食を支えるスタッフの皆さん

 「朝ごはんには、頭がめざめる、おなかがめざめる、元気がめざめる、という3つのパワーがあるよ。朝、主食のごはんを食べよう、おかずといっしょに食べよう、牛乳も飲もう。そのために、早寝早起きをしよう。みんな、できるかな?」「できるー!」いっせいに全員の声があがりました。

残食率1パーセント以下!
一人一人、その子にあったアドバイスをする須合先生

 隣りのランチルームに移動して、いよいよ給食タイム。私たち取材班もごちそうになった今日のメニューは、人気のみそラーメンとポテトと牛乳、デザートはみかんでした。子どもたちの食事の様子を観察していると、お代わりをする子もいれば、あらかじめ麺の量が少ない子もいますが、残す子はほとんどいませんでした。

 給食後のインタビュー。

 教頭先生のお話では、須合先生が赴任されてから残食率が劇的に減ったそうですが、なにか特別な理由でも?

 「給食のルールをつくったのです。例えば、低学年の子は誕生日によって学年が違うほど体力差が大きいのに、ごはんの量が均一なのはおかしい。子どもの状態に合わせて食べる量をあらかじめ加減するなどいくつかのルールを決め、担任の先生方に提案し協力していただきました。食事も成長へのトレーニングの一環。あまり食べられなかった子も慣れるにしたがって食事量が増えていきます。いまは残食率は1パーセント以下にまでなりました」

 きめ細かい配慮があったのですね。では、いま気になっていることは?

 「それでもやはり、“これ、食べたことがない。だから食べない”という食わず嫌いの子がクラスに何人かいます。アスパラやトマトなど、ひとつまみでも口に入れるとすんなり食べられるようになる子もいるので、根気よく見てあげたいですね。牛乳もまた、あの量であの吸収率と栄養はほかにありません。とくに成長が止まる20歳までは飲む習慣をつけてほしいです」

からだ元気プロジェクトとは?
『からだ元気プロジェクト』の授業風景
普段自分たちが飲んでいる飲み物に含まれる成分について解説

 今日のクラスは朝ごはんの大切さがテーマでしたが、ほかにはどのような食育テーマがありますか?

 「3年生は大豆の栄養について、4年生は残した給食とフードリサイクルについて、5年生はバランスのよい献立について学びます。そして、6年生になると『からだ元気プロジェクト』が始まります」

 それは、どういうプロジェクトですか?

 「私は、未来の自分のためにできること『からだ元気プロジェクト』と呼んでいます。以前、北海道の小中学生の体力は全国の中でも最下位グループという調査結果が話題になりました。そのあまりの低さに驚いたことが、2年前にこのプロジェクトを立ち上げたきっかけです。具体的には、①子どもたちがいまの自分の身体を知ること(身体測定、体力測定)②栄養・睡眠・運動という生活習慣が身体づくりにいかに大切かを知ること ③鉄分やカルシウムの多い食事の調理実習 ④再度の体力測定とアンケート調査。これを全25回2ヶ月あまりの食育授業で実施します」

一見、体育の授業のようだが、これも
『からだ元気プロジェクト』の一環

 結果は現れましたか?

 「はい。一昨年の、とくに男子の総合体力は全国平均を上回り、ほかにも主食の摂取量の増加、運動日数の増加、排便習慣の改善なども見られました。大事なことは、未来のなりたい自分になるために、子どもたちが自ら食習慣や生活習慣を改善しようという気になることです。その意味で、結果がはっきりと見えることが彼らにとって大きな励ましになると思っています」
 

理想の健康像を描くために。

 須合先生は札幌市では初の男性栄養士ですが、なぜこの仕事に進もうと?

 「幼稚園のころから料理少年でした。なぜか中学生のころには、栄養士という職業が憧れとともに頭の中にありましたね(笑)高校生のときに過敏性腸症候群をわずらい、人は体力や体調によっては何もできなくなると知ったことや、I型糖尿病患者さんの支援キャンプに参加して目を開かされたこと、自分の創意工夫を生かして子どもたちの成長に寄与できること、いろいろな理由と経験があっての今だと思います」

 健康運動指導士の資格もお持ちですね?

 「はい。管理栄養士はエネルギーの出入りを管理する仕事。健康運動指導士の資格を取ったのは、理想の健康像を描くという広い観点から栄養について考えてみたかったからです。体力や能力をいつも最大に発揮できるための生活習慣、その中心に食事がある、と私は自分の体験からそう考えています」

 では最後に、お母さんたちへのメッセージを。

 「一日1回でもいいので、いっしょに食事をしてほしい。いっしょに食べる人の数が多いほど子どもの情緒が安定するという調査もあります。子どもの排便状況も把握していてほしい。便秘はイライラ、だるい、疲れやすい、という症状につながります。やはり、生活習慣が大切ですね」

これらの項目は、身長の発育に大きく関与する「成長ホルモン」の分泌を最大限に生かす生活習慣です。遺伝が子どもの身長に与える影響について、個人差はありますが62~90%といわれており、残りの10~38%は食事や生活習慣などの後天的な要因が影響してきます。その差はなんと-3~+9cm! また、これらは、身長だけでなく、体力や集中力の向上などにも影響する大変重要な生活習慣です。須合先生は大人になってこの生活を実践したところ、なんと、20歳から2cmも身長が伸びたそうです。

スポ育ABC

インタビュー・文/三浦清隆  写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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