HOME特集記事 > 栄養士さんご紹介 第5回 梶原 成美先生・佐々木 十美さん(学校給食ごはん Vol.5 - 2014 春号掲載)

栄養士さんご紹介第5回

置戸町立置戸小学校・栄養教諭
梶原 成美 先生

置戸町 食のアドバイザー(前 置戸町立置戸小学校・栄養教諭)
佐々木 十美 さん

今日のジャーマンポテトは、具がでかい。

左/置戸町立置戸小学校・栄養教諭 梶原 成美 先生
右/置戸町 食のアドバイザー(前 置戸町立置戸小学校・栄養教諭) 佐々木 十美 さん
“日本一の給食”の町で。

 置戸町といえば、オケクラフト、そして“日本一の給食”ですっかり全国的に有名になりました。置戸小学校を訪れると、さすが林業と木工芸の町らしく、教室にも吹き抜けの廊下にも木がふんだんに使われていて、木の香りとともに空気がやわらかく感じられました。『学校給食ごはん』5人目の栄養士さんは、ここで3年目を迎えた梶原成美先生です。

── まず、栄養教諭になろうと思った理由を教えてください。

 「そうですね。姉たちが看護師と歯科衛生士として働いているのを見て、私もとりあえず資格を取った方がいいかなと思い、もともと食べることが好きなので(笑)、天使大学の栄養学科に入学しました。教育実習などを経験して栄養教諭をめざす気持ちが高まり、さらに、教員採用試験を終えてから佐々木十美さんという人を知ります。テレビ番組を見たり講演を聴き、友人が十美さんに直接電話をして数人で実習をさせてもらいました。仕事を教えてもらいながら給食をいただいたり、おいしそうに食べる子どもたちの表情に触れ、栄養教諭という職業の可能性を確信しました」

 佐々木十美さん。置戸町学校給食センターの管理栄養士と置戸小学校の栄養教諭を兼務しながら、給食ひとすじに40年。本物の味を子どもたちに味わってもらうため19種のスパイスでつくる辛いカレーなど、テレビ番組でその妥協のない仕事ぶりが紹介され、給食の母とも呼ばれてきた人です。

左/地元の“旬”の食材を使ったバラエティ豊かな給食は、置戸町学校給食センターのスタッフに支えられている
右上/大きな鍋でジャーマンポテトを調理 右下/この日も近隣の農家より赤玉ねぎアーリーレッドが寄贈された

 

家庭科の授業に飛び入り参加
子どもたちが栄養・彩り・コストの
バランスを考えて給食の献立を
組み立てます
佐々木十美さんの背中を見て。

── そんな偉大な佐々木十美さんの後任栄養士として働くことになったと知ったときは?

 「びっくりしました。なぜ私なの、とか、私にできるのか、という思いが駆けめぐりました」と、さして驚いた風もなく、さらりと答える梶原さん。赴任してから1年かけ、基本的な考え方や仕事の仕組みなど佐々木さんから一つ一つじっくりと教えてもらった、といいます。

 「1年もかけて引き継ぎなんて、恵まれていますよね。難しいのは、やはり献立づくりです。ここでは決まったメニューはありません。本当は1ヶ月前には決めたいけれど、新鮮な旬の食材を生かすことが基本なので、例えば旬のヤーコンや朝採りのトウモロコシなど入荷に合わせてメニューをつくると、実際の食材の発注は1週間前ぎりぎりになってしまいます。また、よくJAきたみらいさん、近所の農家さんからおいもや玉ねぎなどをいただくのですが、生産者の皆さんの苦労をどれだけ知って献立に生かすかという工夫も大切に考えています」

 と、突然そこへ佐々木十美さんご本人が登場! 定年退職したものの、現在は置戸町の「食のアドバイザー」として町内での活動のほか料理教室や講演で全国を飛び回る相変わらずの忙しさ。給食の調理のチェックに向かう梶原さんと入れ替わりに、佐々木さんからもお話を聞くことができました。

 3年目の梶原さんについては、「なにも心配していません。彼女、おおらかでしょ。物怖じしないし、好き嫌いがないし、よく食べる(笑)彼女なら大丈夫、最近は安心してまかせています」と太鼓判を押す。

本物の味を子どもたちに伝えたい。

 若いお母さんたちに伝えたいことを聞くと、「料理をしないお母さんが増えているようですが、最高の料理はお母さんが家族のためにつくる料理なんです。私はそれと全く同じ気持ちで40年間給食をつくってきました。出汁や無添加の調味料にこだわるのも、地元産の旬の素材にこだわるのも、子どもたちが本物の味を体験して味覚形成をしてもらいたいから。肉や野菜から出るうまみは、それだけで十分においしいんですよ」と語ってくれました。

 ところで、この日はたまたま6年生の家庭科の授業が「給食の献立を考えよう」というテーマでした。給食準備を済ませた梶原先生が講師に迎えられ、グループ発表ひとつひとつに講評とアドバイスを加えていきます。例えば「アスパラのベーコン巻き」を考えたグループには、「アスパラはいまの季節は値段が高いので、安くておいしい春の旬のときのメニューであればもっと素晴らしい」と季節感や旬に合わせた献立づくりをアドバイス。短く的確な指摘に子どもたちも納得、隣りに立って梶原先生を優しく見守る佐々木さんの表情が印象的でした。

置戸町で、受け継がれていくもの。

 さて、いよいよ“日本一の給食”タイム。今日は、カレージャーマンポテト、すいとんスープ、スライスパン&いちごジャム、牛乳というメニューです。ニレやエゾマツからつくられたトレーや茶わん、木目もあざやかなオケクラフトの食器に盛られ料理もいちだんとおいしそうです。すいとんは市販のものではなく小麦粉から手作りしたもの、スライスパンは100%道産小麦使用とこだわっていて、これが大人にもじつにおいしい。さらに、カレージャーマンポテトは甘くておいしいと評判の、JAきたみらいからいただいたというスノーマーチを使っていて、とにかく具が大きい!

オケクラフトの食器に盛られた取材日の給食メニューは
スノーマーチを使ったカレージャーマンポテト、すいとんスープ等々
大人が食べてもじつにおいしい

 「具が大きければ、家庭の大人がするように子どもたちは自分で適当に切って食べることを覚えます。魚は骨付き、カレーは辛いもの、ここではすべて当たり前のことなのです」と、佐々木さんも梶原先生も口をそろえて朗らかに言います。この時代に当たり前のことを当たり前にやる難しさ。醸造元を訪問して調味料が無添加であることを確認したり、地域の人たちとフキ採りに行き塩漬けしたものを給食に出したり、その裏では手間ひまをいとわぬ努力が積み重ねられています。

 この3月には、名古屋から栄養教諭をめざす学生が梶原先生のもとに研修に来るそうです。佐々木十美さんから梶原成美さんへ、そしてさらに若い世代へ、“日本一の給食”が受け継がれていきます。

文/三浦清隆    写真撮影/加藤正道写真事務所

 

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