HOME特集記事 > 地産給食 生産者Letter 第9回(学校給食ごはん Vol.9 - 2015 夏号掲載)

地産給食 生産者Letter第9回

JAさっぽろ ほうれんそう生産農家/札幌市
黒田 健 さん

がんばれ、さっぽろ野菜。

なつかしいアメリカのヒーロー「ポパイ」のパワーの素は、ほうれんそうでした。
成長のための栄養がたっぷり詰まったこの緑黄色野菜は、学校給食でも大切な食材のひとつ。
札幌市の清田区を中心にほうれんそうを出荷している黒田健さんの畑を訪ねました。
まさに地産地消、『学校給食ごはん』第9号にして初めて地元札幌市内の農家取材です。

ポーラスター、知ってる?

 ここは、札幌市南区の滝野地区。四方を森に囲まれた隠れ里のような一角に3軒の農家が隣り合っていました。出迎えてくれたのは真っ黒に日焼けした黒田健さんと、JAさっぽろの曽我俊史営農係長と北間秀治販売係長。青々と育ち出荷を待つばかりのほうれんそうのハウスの前でお話を聞きました。「ほうれんそうはすべてハウス栽培で、この12棟のハウスをひとシーズンで3回転させています」と黒田さん。種まきから出荷まで1回転の期間はいまなら30日くらい、とか。「今年は確か4月19日に作付けし、5月27日から『ポーラスター』というブランドで出荷しています。ハウスごとに種をまく時期を少しずつずらすことによって、いつも新鮮なものを10月ころまで安定して出荷することができます」と語ります。

ポーラちゃん

ここで、ポーラスターという名前にピンときた人もいるかもしれません。そう、『学校給食ごはん』第2号で、真栄中学校の栄養士の宮武知美先生(現・美しが丘小学校)が「ポーラちゃん」というほうれんそうのキャラクターを制作した話を紹介しました。「そうそう! 去年も10数人の若い栄養士さんたちが圃場視察に来ましたよ。清田地区の給食にはこのポーラスターが使われていますからね」と黒田さんも曽我係長も口をそろえます。

『学校給食ごはん』第2号 宮武知美先生の記事はこちらからご覧になれます。▶

左/JAさっぽろ 営農係長 曽我さん
右/JAさっぽろ 販売係長 北間さん
ほうれんそうは、水を食べる?

 ほうれんそうの栽培で一番大事なことは?
 「水ですね。ほうれんそうは水を食べて育つ、といわれるほど水がいのちです。気温と相談しながら週に2~3回水やりが必要ですが、ウチは幸い畑の真ん中を厚別川が流れていますから(笑)」確かに、ここ滝野地区は厚別川(アシリベツ川ともいう)の源流に近く、ゆっくりと蛇行しながら豊かで清冽な水が流れていました。出荷間近のほうれんそうを味見させてもらうと、特有のアクの強さが少しもなく生でいくらでも食べられそうなのは、このきれいな水のおかげかもしれません。

 ほうれんそうの栽培を始めたのもこの天然の恵みを生かそうと?
 「そうなんです。31年前です。水が豊かなのはありがたい。豊かすぎて、昨年は氾濫寸前になりヒヤヒヤさせられましたけどね。もう一つの理由は、ほかの作物に比べて身入りがいい(笑)」

 なるほど(笑)ところで、黒田さんは野菜づくり何年目になりますか?
 「今年で78歳になりますが、以前は厚真で酪農を経営していました。発電所建設ということで土地を売り、昭和45年にここに農家3軒分、3haの土地を買ったのが始まりです。当時は水田でしたので文字通り土づくりからのスタートでした」

 後継者については?
 「さあ。農業は並大抵なことではないし、子どもにやれ、とは言えません。私らは好きでやってきましたから」

地産地消の、さっぽろ野菜。

 橋を渡り川の反対側へ。こちらの畑ではどんな野菜を育てていますか?
 「大根、カボチャ、じゃがいも、トーキビなどを育てています。特にじゃがいものメークインはどこにも負けない自信があります。滝野は寒暖の差が大きく朝露がたっぷり降りるし、6月半ばに霜が降りたこともあるくらい。厳しい気候は野菜づくりには好条件です」おかげで、デンプン質が高くて甘い黒田さんの「滝野メークイン」は10kg詰め100箱がすぐ売り切れてしまう人気だそうです。ちょうど畑では奥さんと若い女性が農作業をしていました。曽我さんによれば、2人はJAさっぽろの新人職員でただいま農業実習中とのこと。黒田さんは、こうした研修のほかにも3組の新規就農者のために農業指導なども引き受けていました。

 190万都市札幌は都市化の波に洗われ、農業のイメージと結びつきにくいかもしれません。また、数十町歩の広大な畑を展開するニセコや北見地域などとは比べようもありません。しかし、札幌市内にも、例えば丘珠の玉ねぎ農家のように、滝野の黒田さんのように、誇りと自信を持って野菜を育てる人たちがたくさんいます。地産地消を唱えるまでもなく、新鮮でおいしいさっぽろ野菜の可能性にエールを送りたくなりました。

取材協力
JAさっぽろ
インタビュー・文/三浦清隆 写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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