HOME特集記事 > 地産給食 生産者Letter 第8回(学校給食ごはん Vol.8 - 2015 春号掲載)

地産給食 生産者Letter第8回

北見地区食用馬鈴しょ振興会会長/置戸町
堺 信幸 さん

育ての親が語る、スノーマーチ愛。

じゃがいもの旬は秋と決まっていましたが、
近ごろは春先にもう一度旬がやってくるようです。北見地区を中心に、新品種の「スノーマーチ」の出荷がたけなわです。
このニューフェイスは秋に収穫したものをしばらく寝かせ糖度が増したところで市場に出るので、甘くておいしいと評判。
男しゃく、メークインに次ぐ期待のスターを育てるJAきたみらいの堺信幸さんにお話を聞きました。

眠りから覚め、旅立つスノーマーチ。

 まず、訓子府町の選果場レポートから。ここには、JAきたみらいで収穫されたスノーマーチがすべて集まってきます。取材した日は、先輩格の男しゃくの箱詰め作業が行われていました。コンテナから選果ラインに移されたいもが間断なくベルトコンベア上を流れています。行程は、まず人の目でハネものをチェック、ブラシで土を払われ、いものサイズによって自動的に進むルートが分かれ、最終的にM玉から3L玉まで4種類の箱に詰め分けられます。効率よく考えられたオートメーションラインですが、「大切なことは最終行程までに人の目で3回チェックしていること」と担当者は強調します。行程のスタート時にはコンテナがどこの農場のものか逐一記録されており、トレーサビリティ(生産者の特定)と安全管理は徹底しています。

品種/スノーマーチ
皮をむけば果肉は雪のように白いのが特長です。でんぷん質が多く貯蔵すればする程甘みが増します。卵型で芽が浅いので皮がむきやすく、煮崩れしにくいのでさまざまな料理に使えます。

 隣接する貯蔵エリアに移動すると、こちらは別世界の静けさ。体育館ほどの広さの7つの貯蔵倉庫に、1,500基あまりのコンテナがうず高くぎっしりと積まれていました。作物の緑化防止のため室内は薄暗く、また水分が飛ぶのを防ぐために冬期間は気温2度、湿度は約95%に保たれています。この数値は、もう1カ所取材した美幌広域連選果場(JAびほろ、JAつべつ、JAめまんべつを統括)の場合もほぼおなじ。細心にコントロールされた環境の中で、スノーマーチはすやすや眠りながら自らの糖度を高め、出荷のときを待つのです。

育ての親の、親心。

 置戸町に移動して、堺信幸さんを訪ねました。この地で4代目の堺さんは42haの畑を所有し、弟さんとふたりで小麦、ビート、スイートコーン、じゃがいもは「男しゃく」「さやか」などを栽培しています。スノーマーチも3年間積極的に作ってきましたが、北見地区の馬鈴しょ振興会会長に就任した昨年はこの新しい品種を作付けしなかったそうです。「まだタネが十二分に用意できないので、他の人に回しました。有望な新品種をできるだけ多くの農家に作ってもらいたいからね」北見地区における昨年のスノーマーチの作付面積は84.5ha。平成24年度32.5ha、25年度56.9haと年々急増しているとはいえ、2,000ha前後の男しゃくとはまだ比較にもなりません。

北見の気候に合った、スノーマーチ。
スノーマーチの花

 「男しゃくは、いわばメジャーリーガーだからね。その男しゃくを守るためにも、新しい品種の育成が大切なんです。まあ、いずれタネと販売ルートさえ確保できれば、100ha、200haと増えていきますよ」と語る堺さん。一方で「産地としては、飽きられないものをつくりたい。急いで数を追うよりも、打ち上げ花火にならないように、欲張らず着実にね」と慎重です。そして、冬はマイナス20度、夏は30度にもなる、北見地区の気候がスノーマーチに合っているといいます。「この厳しい気候がいいんです。寒暖差が大きいおかげで、デンプンがのってサツマイモのように甘くなります。玉も大きく、実も多い。昨年は作柄もよく、大玉ぞろいでした。これまでは秋の新じゃがが旬ものとして価値があったが、貯蔵して糖度が増した春先のスノーマーチは2回目の旬ということになるかもしれません」

2月から、札幌市の給食にデビュー。

 スノーマーチは芽も浅いし、火の通りが早いなど調理のしやすさでも給食に向いている、といいます。もちろん置戸でも地場の食材として使われており、甘くておいしい、と子どもたちの評判もいいようです。今年の2月からようやく札幌市の給食に登場しましたが、子どもたちは違いに気づいたでしょうか。現状はほとんど関東に出荷されてしまい、道内では限られた場所でしか買えないのがちょっぴり残念です。じつは、わが国のじゃがいもの生産量は年々減っており、にもかかわらず消費量は増えているといいます。「つまり加工用を中心に輸入が増えているということです。くやしいですよね」と堺さんは嘆きます。いも自体の値段はあまり変わらないのに、あらかじめカットされた輸入物は調理の手間がかからないというのが増えている理由の一つのようです。

スノーマーチのフレンチポテト

「昨年の置戸の七夕祭りでは、みんなで頑張って調理したスノーマーチのフライドポテトを提供したら、とてもおいしいと評判でした。やはりね、おいしいものをおいしく食べようとすれば多少の手間は惜しまないことですよ。私たちには子どもたちの笑顔がなによりのご褒美でした」

 

農協/ホクレン/北海道産青果物拡販宣伝協議会
インタビュー・文/三浦清隆 写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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