HOME特集記事 > 地産給食 生産者Letter 第6回(学校給食ごはん Vol.6 - 2014 夏号掲載)

地産給食 生産者Letter第6回

株式会社 山岸牧場 取締役/士幌町
山岸 拓 さん

夢がある。誇りがある。若い力がある。

10時過ぎ 餌やりの手を休めてもらい撮影(左から北出さん、山岸さん、上原さん)

今回のテーマは、牛乳。そこで、日本を代表する酪農王国である十勝地方の士幌町へと向かいました。6月初旬というのに真夏のような暑さ、となりの音更町では観測史上最高の37.8度の猛暑を記録した日でした。
この地で親子4代100年にわたり酪農を営んできた山岸牧場を訪ね、若き酪農家に牛乳づくりの喜びと未来を聞いてきました。

午前5時、作業スタート。

 酪農家の朝は早い。取材班も午前3時半に起床し、朝もやが立ちのぼる田園を走り抜けて牧場に到着。午前5時、作業がスタートしました。立っているだけでも汗が出る猛暑の中で精力的に動きまわるのは山岸 拓さん33歳、山岸牧場の4代目です。拓く、開拓の拓。その名前に、牧場を発展させた社長であるお父さんのわが子への期待がこめられていると勝手に感じました。

 「一日のスケジュールは、まず出産した母牛の搾乳と仔牛への哺乳、牛ふん集めと掃除、そして搾乳とエサやりを手分けして行います」と山岸さん。現場で作業に当たるのは、他にご両親と義兄の北出敦人さん34歳と奄美大島出身で入社間もない上原孝基さん20歳。

 牧場入口の右手には分娩を終えたばかりの母牛が休息する牛舎があり、その栄養たっぷりの初乳は生後1週間ほどの仔牛たちに与えられます。「2ヶ月に入ると哺乳をやめ別の牛舎に移し、生後2ヶ月から10ヶ月のグループとともにそれぞれの配合飼料や乾燥わらで育てます。13~16ヶ月目で種付け、ほぼ24ヶ月で仔牛を生み、初めて乳を出します」考えてみると、ここまでの期間、牛たちはただひたすら食べつづけるだけで、一滴の牛乳も収入も産み出すわけではありません。酪農は根気のいる仕事なのです。

(写真左から)母牛の搾乳 AM5時〜 / 母牛の母乳を仔牛に一頭一頭 哺乳 AM5時30分〜 / 牛舎では搾乳に移動した間に手早く掃除開始 / きれいに掃除された牛舎にそろそろ搾乳を終えた牛が戻ってきます。

毎日5,000kgの乳を出す牛たち。
ロータリーパーラー搾乳作業

 「 現在飼育している牛は290頭ほど。その内親牛は170頭、実際に搾乳しているのは全体の約半分の140頭くらいですね」

搾乳は朝6時と夕方5時の2回。ロータリーパーラーといって、直径8メートルほどの円形状の搾乳室で、ゆっくりと回転する外周部分に20頭分の仕切りがあります。牛が1頭ずつ入場し搾乳器をつけられて約10分、1周するうちに1頭あたり18kgほどの乳を出します。生乳はパイプを伝って隣室の10トン入りのバルククーラーに溜められ、この間、空気に触れることはありません。乳牛1頭が一日2回で出す乳量は平均35kgほど、140頭で一日約5,000kg。乳牛たちはこうして350日間ほど乳を出しつづけます。やっぱり、牛もえらい! 午前8時、2日に1回集乳に来るタンクローリーが到着。今日の集乳量は9,930kgでした。

環境にやさしい、循環型酪農へ。

 山岸牧場ではバイオガス発電を導入しています。

 「牛ふんを発酵タンクに集め、発生するメタンガスによって発電機を回すシステムで、昨年4月から稼働しています。1日1,200kwの電力を生み出し、すべて売電しています。利益が出るのはまだまだこれからですが、利用済みの牛ふんは臭みが消えて良質な堆肥としていい土をつくってくれます」と楽しげに語る山岸さん。厄介者だった牛ふんが環境や人の役に立つエネルギー資源として再生するわけで、まさに持続可能な循環型酪農の姿です。TPPや農業人口の高齢化などが話題になる中、山岸さんにとって酪農とは何か、を聞いてみました。

 「高齢化の問題だけでなく燃料代や飼料代の高騰など、酪農を取り巻く環境は厳しくなっています。そんな中で、この十勝でも私たちを含め多くの若い酪農家が奮闘しています。以前、家族会議で酪農経営について話し合ったとき、酪農は暮らしに笑顔を生み出す仕事であり、将来も世の中に必要な仕事であることを確認し合いました。株式会社にしたのも、まずここで働く人が笑顔になれる環境を、という理由から。私たちには、日本の食を守っているという誇りもあります」

「さくら工房」で、ヨーグルト販売も。

 「母と姉は自社の『さくら工房』で生乳100%ヨーグルトの製造販売も始めました。多くの人に食べて笑顔になってもらいたいし、広く酪農の魅力に触れてほしいというメッセージでもあります」取材班も一つごちそうになりましたが、うーん、じつにクリーミー! ほんのりした甘さで、なるほど笑顔になりました。

 では最後に、酪農の魅力と、子どもたちへのメッセージを。

 「一番うれしいのは、自分が考えたエサの組み合わせ方で狙い通りの結果が出ること。少しオタクっぽいですか(笑)でも、それで配合次第で乳量も乳質も大きく変わるんです。やはり、努力に結果がついてくることと家族がいっしょに働けること、それが酪農の魅力です。また、子どもたちには、ぜひ教育ファームで酪農体験をして、牛乳が手間をかけてつくられる現場を知ってほしい。そして、牛乳を飲むときは、かわいい牛たちの顔を思い浮かべてくれたらうれしいですね」

インタビュー・文/三浦清隆  写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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