HOME特集記事 > 地産給食 生産者Letter 第4回(学校給食ごはん Vol.4 - 2013 秋号掲載)

地産給食 生産者Letter第4回

標津漁業協同組合 代表理事 組合長
西山 良一 さん

標津漁業協同組合 参事
佐藤 詩朗 さん

秋鮭の山漬け、スライスすれば海の生ハム!?

近藤 一夫さん

今回のテーマは海の幸、いまが旬の秋鮭です。
取材班が訪れたのは、知床半島のあごの辺りに位置する標津町の標津漁業協同組合。港からは北方領土の国後島が目と鼻の先にくっきりと見えます。 解禁されて半月あまり、秋鮭漁真っ盛りで忙しいさなかの組合長・西山良一さんと参事の佐藤詩朗さんにお話を聞いてきました。

朝日の昇る中、秋鮭の水揚げ作業が行われる

本日の水揚げ、2万尾!

 国後島の向こうから朝日が昇り始めた午前5時、2時間あまりの定置網漁を終えた28隻の船団が標津港に帰ってきました。気温6度の寒さながら、たちまち湯気立つように港に活気が満ちます。巨大なタモで船倉から次々すくいあげられる秋鮭たち。その場ですぐオス・メス、皮目などを選別され、氷を張ったそれぞれのタンクに仕分けされて、セリの開始を待ちます。

定置網漁の様子
左上/漁は「標津町地域HACCP認定漁船」によって行われる
左中/まだ暗い中、定置網を揚げる
左下/水揚げされた秋鮭は海水と氷の入った船内の水槽に移される

右上/水揚げされた秋鮭はその場ですぐ選別され、
   氷で急冷されて鮮度を十分に保ちながらセリを待つ
セリの様子、時間は1カ所につき約10秒!

 「海水温17度からここで一気に3、4度にまで急冷します。標津産秋鮭の高い評価を保つには、なによりも鮮度保持が大切」と語る西山組合長はまた、第18宝成丸の船長でもあります。漁の結果を聞くと、「ウチが約800尾、全体では、2万尾あまりかな。この時期としては、まずまずでしょう」と、ニッコリ。午前7時、セリがスタート。セリ人と仲買人が、28隻分のタンクを早足で回りながら次々セリ落としていきます。1カ所につき約10秒! あっという間にセリが終了。西山組合長の穏やかな顔を見れば、今日はいい値がついたようです。

標津の鮭を、世界へ。

 標津漁協参事の佐藤さんの話。「こちらでは年明けのコマイ漁に始まり、スケトウダラ、カレイ、ホッケ、5月ころにはトキシラズ、サクラマスが獲れ、並行してホタテ漁がほぼ年間を通じて行われています。秋鮭定置網は9月1日に解禁になり、標津町沿岸の海岸線に22カ所、沖合に6カ所の計28カ所が設置され、11月いっぱい漁が行われます」

── ところで、TPP交渉との関連で、これからは守るだけではなく攻めの輸出も必要です。標津産秋鮭というブランドをどうアピールしますか?

 「震災以後は停滞していますが、輸出はこれまでも活発に行われています。標津の秋鮭はきれいな赤身でほどよく脂がのっており、現在は水揚げ量こそ1位を譲りましたが、品質も漁獲量もずっとトップクラスの評価です。また、標津町沿岸には大小7つの河川が流れ込み、川水を吸ったメス鮭の卵は熟度が進むためイクラ製品は粒が大きくてコクがあり、市場では最高のブランドとされています」

 「一番の特徴は徹底した鮮度・衛生管理」にある、という。加工場を見学すると、中国向け製品の加工作業がたけなわ。魚卵を取り出し、洗浄された秋鮭が英語・中国語併記のダンボールに次々と箱詰めされていました。隣りの部屋では、イクラ・筋子加工が行われていますが、こちらは衛生保持のため立入禁止です。

標津産の秋鮭の加工は、HACCP認定加工場にて原料受け入れ段階から加工、
出荷まで徹底管理される

 「ここでは1日100トン、約3万尾の秋鮭が加工処理されています。食の安全のために、出漁から加工、運送まで一連の作業は地域HACCP(※)マニュアルにもとづいて、チェック・記録・記録保管が行われます。今後はHACCPをさらに徹底し、アメリカやアジアなどへの輸出を拡大していきたい」と佐藤参事は力をこめます。

※HACCP(ハサップ):食の安全・安心のための国際的な製造管理基準

1匹まるごと、“骨のある給食”を。

 秋鮭といえば塩焼き、フライ、チャンチャン焼きなどいろいろな食べ方があります。漁師さんたちの最高においしい食べ方を聞くと、西山組合長も佐藤参事も口をそろえて「山漬け」といいます。

 「山漬けは、塩をした秋鮭を山のように重ね、3~4週間寝かせます。秋鮭自体の重みで自然と身が引き締まり、熟成してうま味が増します。これを塩抜きしてさらに海風に干してうま味を引き出します。輪切りにして焼いて食べる、あるいは生のまま薄くスライスすれば秋鮭の生ハム、どちらも最高ですよ」と佐藤参事。ウーン、おいしそう!

── 最後に、給食を通して子どもたちを魚好きにさせる方法と、メッセージを。

 「むずかしい質問ですね。魚離れがつづき、親が食べないから子も食べない。学校給食は、骨なし、皮なし、ウロコなし。“ホッケは開きのかたちで海を泳いでいる”と信じる子がいる、という話を聞くと悲しくなります。提案ですが、食育の一環として魚の種類、獲った場所・方法、旬の時期などを説明し、イワシなどは1匹まるごと出して、時間をかけ骨格標本を作る気持ちで食べてもらう。いわば“骨のある給食”、どうでしょうか? 子どもたちには、日本は水産資源が豊富、健康によいお魚をどんどん食べてほしい、と伝えたいですね」

取材協力/ 標津漁業協同組合
インタビュー・文/三浦清隆    写真撮影/加藤正道写真事務所

バックナンバーはこちら

学校給食ごはん Vol.15

Vol.15 - 2017夏号
好評配布中!

配布先・
設置店舗のご案内

バックナンバー

寄付金のお願い本誌は、皆様から寄付を
頂き発行をしております

ご寄付ありがとうございました

東洋食品株式会社
北海道支店

広告募集
Facebookページもチェック! Twitter @codomogohanをフォロー