HOME特集記事 > 地産給食 生産者Letter 第10回(学校給食ごはん Vol.10 - 2015 秋冬号掲載)

地産給食 生産者Letter第10回

JAさっぽろ 玉葱部会会長/札幌市
大萱生 勝 さん

札幌黄って、知っていますか?

今年は玉ねぎが豊作だそうです。ビタミンB1を豊富に含み、煮ても焼いてもおいしい、もちろん生でもおいしいこの野菜を心おきなく食べられるのはうれしいこと。
今回は、130人あまりの会員を数えるJAさっぽろ玉葱部会の会長であり、札幌市内で代々玉ねぎを生産してきた大萱生 勝さんの畑を訪ねます。
前回につづく、地産地消の「さっぽろ野菜」篇です。

玉ねぎ栽培のルーツは、ここ札幌。

 玉ねぎの一大産地といえば北見ですが、日本における玉ねぎ栽培はここ札幌の地で始まったこと、ご存じでしたか? 今日でも大萱生さんの住む篠路・丘珠地区は玉ねぎ農家が点在し名産地となっています。じつは畑を訪ねる道の途中に十軒神社という名前の神社があり、そこに大萱生家開拓記念碑が建っているのを見つけました。「そうなんです。私は分家してから3代目に当たりますが、明治4年に10軒の農家がこの地に入ったのが始まりで、だから十軒神社。その後、何軒か去った後に明治14年に本家の祖先が入植してきました。当初はいろいろな野菜や自家用に米もつくっていたようですが、時代とともに減反政策などを経て、やがて玉ねぎ一本になりました。玉ねぎは土地を選ぶ野菜ですが、伏古川流域のこの辺りは土地が肥沃だったことも幸いしました」と語る大萱生さん。

 玉ねぎの中ではどんな品種を?「現在メインにつくっているのは『北もみじ2000』で、これは全道的にも主力品種となっています。また、札幌市の学校給食にも使われている『さつおう』という品種、これは調理くずや残食などの生ゴミを堆肥にして使う学校給食フードリサイクル事業の一環としてつくっています。その他、収穫が早い早生(わせ)の『222』や『札幌黄』などいろいろ栽培しています。札幌黄以外はすべてF1ですね」F1とは、いろいろな品種の長所を生かした1代限りの交配種のことで、病気に強くサイズが均一などの特徴を持っています。「早生から晩生品種まで時期をずらして育てることによって、現在では出荷の完全な切れ間は7月のひと月くらいになりました」

幻の玉ねぎ、札幌黄。

 最近は札幌黄が静かなブームですが、なかなか店頭で見ることがなく幻の玉ねぎともいわれています。そもそも、なぜ「黄」なのか? 資料によれば、明治10年にW・P・ブルックス博士によって持ち込まれた「イエロー・グローブ・ダンバース」のイエローから名前が取られ、これが札幌黄の原種となった、という説が有力です。「札幌から始まったこの在来種は『空知黄』『北見黄』などと広まっていきましたが、その後、危うく種が絶える寸前まで生産量が激減してしまいます。私が30代のころに札幌黄の種を残そうという運動が起こり、6、7年前には札幌黄のファンクラブもできました。しかし、まだまだ量は少なく、札幌市全体の作付面積はわずか20haほどと幻の玉ねぎとなっています。ウチも作付面積8haのうちの50a、約16分の1ほどに過ぎません」評判は高いのに、なぜでしょう? 「F1と比べると病気に弱く、大きさも不揃いでスーパーなどには並びにくい。手間がかかる割には価格もさほど変わらないことがネックとなっています」名前も歴史もあり、地域産品として素晴らしい素材。もっとブランド化して付加価値をつけたい。「その通りです。札幌黄は在来種らしく甘みも辛みも強い。あるイベントでこれをポトフで食べさせたら、子どもたちが『コクがある』って。うまいことを言うなあ、と(笑)札幌黄は加熱すると甘みが強くなります。測ってみると糖度は変わらないのに、何割増しかでコクがあると感じるのは不思議です。ぜひ、料理によって使い分けてほしいですね」

若い人が農業に戻ってきた。

 大萱生さんは9haの畑をふだんは奥さんとふたりだけで管理しています。北見あたりとは比べられませんが、札幌では有数の広さ。大変ですね。「種苗の移植は機械で一発で終わりますが、草取りが大変です。忙しくなると息子が手伝ってくれます。息子は37歳ですが、いずれは4代目を継ぐと言ってくれています」それは、心強い! 大萱生さんご夫婦にとって何よりうれしいひと言だったに違いありません。伝えたいメッセージは?「私が農業を始めたのは田中角栄首相の列島改造論のころで、宅地化が進み札幌であと何年できるか、と思ったものです。幸い開発が止まり、最近では丘珠地区には若い人たちが農業に戻ってきています。農業は食を提供するだけではなく、ある意味で地域の環境と健康を守っているといえます。もう20年以上昔ですが、小学生が毎年参観に来ていました。その子たちもいまは親になって、その子どもたちに玉ねぎを食べさせているはずです。そうやって各世代にアピールしていくことも大切です。そして、札幌市民が安心できる食べ物をつくる、地元にある、目に見える、顔の見える食べ物を提供し続けていくことが努めだと思っています」

 では最後に、大萱生さんの玉ねぎの一番好きな食べ方を教えてください。

 「うーん、私は玉子丼か、天ぷらかな。もちろん生でも、みそ汁に入れてもおいしいですけどね」

農協/ホクレン/北海道産青果物拡販宣伝協議会
インタビュー・文/三浦清隆 写真撮影/寺沢写真スタジオ

 

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